【今日の一枚】
『彼と』三善英史
1974年3月10日リリース(ビクターレコード)
「三善英史」の7枚目のシングルである。
作詞を「阿久悠」が,作曲を「三木たかし」が担当している。
デビュー曲『雨』がいきなりの大ヒットを飛ばし,『円山・花町・母の町』でNHK紅白歌合戦に初出場した。
中学生の頃のヒット曲である。
1974年といえば,前年の1973年にリリースされた「かぐや姫」の『神田川』や1974年1月にリリースされた『赤ちょうちん』のヒットを受けて,「四畳半フォーク」全盛の頃だった。
歌謡曲の世界でも,「布施明」の『積木の部屋』や「野口五郎」の『甘い生活』といったいわゆる「同棲」をテーマとした曲がリリースされていた。
演歌の世界でもこのブームに乗らない手はないということで『彼と』がリリースされたのだと思う。
歌詞はおおよそ演歌らしからぬ内容で,「同棲」の破局を思いながらも,一日一日をささやかに暮らしている男女の様子が,女性の立場から細かく描かれていて,まさにフォークソングの世界を彷彿とさせるものとなっている。
残念ながら『彼と』大ヒットさえしなかったが,「三善英史」の代表曲の一つとして印象に残る一曲となっている。