「大衆食堂」と呼ばれる飲食店があった。
メニューは豊富で,和食から洋食まであらゆるジャンルの料理が揃っていた。
家族で外食することなど殆どなかった時代で,客層は町の無骨な大人たちが中心だった。
昼間から酔っ払っている人もいた。
自家用車が普及していなかったので,運転を気にすることなく呑むことができたのであろう。
子供だけで立ち寄るような場所ではなかった。
時折,来客があった時にとってくれる出前のラーメンやうどんを喜んで食べたものだ。
外食産業の普及と,飲食店の専門化の波に洗われるように街角から姿を消していった。