酒呑み親父のよもやま噺

探求心旺盛な酒呑み親父の随想録

立ち呑み屋

f:id:yomoyamayomoyama:20190325162759j:plain

学生の頃小銭をかき集めては「立ち呑み屋」へ行った。

 コップの下に小さな皿を置いてその上から大将が少し溢れるように「燗酒」を注いでくれるのだ。

溢れた酒は下に置いた皿に溜まる。

コップの酒を一口呑んでから皿に溜まった酒をあらためてコップに注ぐ。

最初に注ぐ酒が、どれだけコップから溢れるかは大将の手加減である。

溢れた酒を自分でコップに注ぐと一口呑んだコップの酒が増えたような気分になるのがささやかな幸せだった。

 一杯150円か200円程度の安酒に、肴は漬物とか佃煮とか烏賊の塩辛が関の山。

金がない時は大将に頼んで塩をもらい、それを舐めながら酒を飲んだ。

思えば体には悪い酒だったが店は庶民的で人情味に溢れていたし、周りの客は学生には優しかった。

 あれから40年近くになる。今の学生はもう少しハイカラな酒の呑み方をするんだろうな…。