酒呑み親父のよもやま噺

探求心旺盛な酒呑み親父の随想録

2019-02-19から1日間の記事一覧

「桜の樹の下には屍体が埋まっている」と母が教えてくれたことがあった。 桜が美しいのはそのためだというのだ。 今思えば、梶井基次郎か誰かの受け売りだったのだと思うが、子供の頃私はそれを信じていた。 私の故郷の川の堤は、春になると桜で埋め尽くされ…

アンクルトリス

子どもの頃よく親父に、近所の酒屋までウイスキーを買いに行かされた。 おおらかな時代だったのだろう、小学生の子どもが買いに行っても当然のように酒を売ってくれた。 ある日、親父のお遣いで「角瓶」か「オールド」を買いに行った時だったと思う。 「○○ち…

ウイスキー

大学生の頃,ウイスキーといえばサントリーの「トリス」か「レッド」だった。 同じサントリーには他にも「ホワイト」や「オールド」というウイスキーがあったのだが当時の大学生にとっては高嶺の花だった。 当時の,サントリーの最高峰「ローヤル」に至って…

日の丸弁当

白い御飯の真ん中に梅干しを乗せた弁当を「日の丸弁当」と言った。 たしかに、日本の国旗「日の丸」に見えた。 当時の弁当の定番だったのだ。 弁当箱の大半を御飯が占めていて、お菜はその隅に申し訳程度が普通だった。少ないお菜の中に卵焼きと赤いウインナ…

立ち呑み屋

学生の頃小銭をかき集めては「立ち呑み屋」へ行った。 コップの下に小さな皿を置いてその上から大将が少し溢れるように「燗酒」を注いでくれるのだ。 溢れた酒は下に置いた皿に溜まる。 コップの酒を一口呑んでから皿に溜まった酒をあらためてコップに注ぐ。…