虫が知らせてくれたのかも知れない。
ある町を車で通過していた時のことである。
一軒の酒屋が目にとまった。
酒を買おうという気もなかったのだが,気が付けば車を駐車場にとめていた。
店に入ってなんとなくウイスキーのコーナーに目を向けて,この目を疑った。
「初号スーパーニッカ復刻版」ではないか。
こんなもの,まだ店頭にあるんだ…。
それも2本…。
もちろん定価で並んでいる。
首に掛けられた「リーフレット」も綺麗で,月日の経過を感じさせない。
恐る恐る2本を手にとって,レジに持って行き…。
これまた恐る恐る聞いてみた。
「こっ,これ…箱…ありますか?」
秋吉久美子に似たお姉さんが,口元にふっと笑みを浮かべながら…。
「あったかなぁ…。ちょっと探して来ますね…。」
と言って店の奥へと消えた。
しばらくして…。
「ありましたぁ…。」と言いながら,お姉さんが差し出した箱を見て,またまた目を疑った。
何と…手付かずの新品ではないか。
「初号スーパーニッカ復刻版」の発売は2015年3月だから,ちょうど4年前になる。
それも10000本の数量限定だったはず…。
こんなこともあるんだなぁ…と思いながら,その町を後にした。