【今日の一枚】
『赤ちょうちん』かぐや姫
1974年1月10日リリース(日本クラウン)
「かぐや姫」の6枚目のシングルであり,昭和の歴史に残る大ヒット曲『神田川』に続く「四畳半三部作」の第2弾である。累計売上70万枚の大ヒット曲となった。
同年,「秋吉久美子」の主演により映画化された。
若いカップルが二人で暮らしていた頃の思い出を,女性の視点から振り返るという歌詞なのだが,歌詞の所々に「昭和」の雰囲気が感じられて情緒深い。
貴方と別れた雨の夜? 公衆電話の箱の中? 膝を抱えて泣きました…
という一節があるが,この部分を聴く時に現在の全面が透明の電話ボックスをイメージして状況を理解しては駄目なのである。
それだと,膝を抱えて泣いている女性の姿は外から丸見えで実に滑稽なものとなってしまうのである。
昭和の時代には,ガラス窓が,電話ボックスの上部にのみにあったのだ。
膝を抱えるようにしゃがんだ状態で身体を電話ボックスの下半分に隠して泣いたからこそ,そこに女心の哀しみが感じられるのである。
中学生の頃のヒット曲である。
個人的には,歌詞の物語性という点からみると,「四畳半三部作」の中では『赤ちょうちん』が抜きんでていると思う。