酒呑み親父のよもやま噺

探求心旺盛な酒呑み親父の随想録

魚屋

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自転車の後ろにトロ箱を積んだ魚屋が来ていた時代があった。

商店街の店先の邪魔にならないお決まりの場所に陣取って商売を始めるのだ。
しばらくすると近所のおばさん達が魚を買いにやってくる。
子供たちは目の前で魚を捌く魚屋の包丁さばきに見惚れたものだ。
捌いた魚のはらわたは傍の溝に捨てていたと思うが,そのことで苦情を言う者などいなかった。
おおらかな時代である。

時には台所のある土間まで入ってきて魚を捌いてくれたりもした。
塩焼は塩をして網に乗せるところまでして帰った。
その場で捌いてもらった魚がその日の夕餉の食卓に並ぶ。

今よりも随分魚屋が身近にあった時代である。