「支那そば」という言葉をご存じだろうか。
今では死語となっているかと思われる言い方だが,私が子どもの頃にはいわゆる「ラーメン」のことを「支那そば」と呼んでいた。
戦後「支那そば」という名称で広まった大衆食堂のラーメンなのだ。
スープは鶏ガラで出汁を取った塩味である。
「味屋食堂」のラーメンがこの味だった。
今に残る,まさに「化石」のようなラーメンで,ここのラーメンを食べると子どもの頃食べた「支那そば」を思い出すことができた。
スープ,麺,上に乗せられた具材,どれを取っても「化石」としか言いようがないのだ。
高梁市に行く度に「味屋食堂」を訪ねた。
残念ながら「味屋食堂」は昨年惜しまれながら閉店した。
ご主人もお年を召されていたので仕方のないことだと思うが ,当時を思い出させるものがまたひとつ町から姿を消してしまった。