酒呑み親父のよもやま噺

探求心旺盛な酒呑み親父の随想録

理科準備室

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小学校の頃,理科室の隣に「理科準備室」という一室があって,そこにはたくさんのホルマリン漬けの標本が置かれていた。

犬や猫の屍体をそのままの形で漬けた壜もあったし,中には神経だけとか血管だけとかの組織のみが漬けられた壜もあって,部屋の中はさながらお化け屋敷のような風情があった。

もちろん生徒一人で入ることは憚られるようなところだった。
「理科準備室」の前の廊下を通るときには,何者かに取り憑かれそうな気がして,小走りに駆け抜けていたように思う。

小学校三年生の時だったと思うが,担任の先生が「理科準備室」に児童をあつめて,木箱に納められた人間の頭蓋骨を見せてくれたことがあった。
かなり古いもので,黄色に変色していたように思う。

何でも,インドで自然死した女性の頭蓋骨だとの説明を受けたという記憶があるのだが,本物の頭蓋骨を見たのはこの時が初めてだった。

そんなものが何故小学校の「理科準備室」にあったのか,今だに謎である。
現在「理科準備室」に,生体の標本は置かれていない。