酒呑み親父のよもやま噺

探求心旺盛な酒呑み親父の随想録

ちんどん屋

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故郷の商店街通りを,時折「ちんどん屋」が通ることがあった。
昭和30年代のことである。

故郷の街には当時,劇場兼映画館が3軒あった関係で,そのあたりの演芸や映画の宣伝のために雇われていたのだと思う。

ちんどん屋」が来たという報らせを聞いて表に出てみると,滑稽な出で立ちの賑やかな行列が,鐘や太鼓を鳴らしながら剽軽(ひょうきん)な仕草で,見物人に愛想を振りまきながら過ぎて行くのだ。

ちんどん屋」が撒く「ビラ」を拾いながら,別世界から来た人々を見るような物珍しさに,釘付けになって見送ったものである。

いつの頃からか「ちんどん屋」は町から姿を消した。
今では「ちんどん屋」という言葉を聞くことも少なくなってしまった。