父の遣いでよく煙草を買いに行った。
たいてい「ハイライト」か「ピース」を買って来るように言われた。
「ハイライト10個下さい」と言うとおばさんが紙袋に手際よく煙草を入れてくれた。
いつもマッチを2個付けてくれていたように思う。
大人は煙草を吸うのが当然のような時代だった。煙草を銜えていない大人の方が少なかった。
子供がお遣いで買いに行っても当然のように煙草を渡してくれた。
世の中が煙草にはまだ大らかだった。
「今日も元気だ煙草が美味い」というキャッチコピーまであったのだ。
喫煙者が敬遠されるようになって町の「たばこ屋」は次第にその姿を消した。