酒呑み親父のよもやま噺

探求心旺盛な酒呑み親父の随想録

交差点

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現在のように交通量が多くなかった昭和40年代の初め頃までは,町の殆どの交差点に信号機がなかった。

車両の数が少なかったのだろう,信号機などなくても事故や渋滞がそれ程起きていなかった時代である。
「一家に一台の自家用車」の時代が来るのは,まだずいぶん先の話だった。

一日のうちで交通量が増える時間帯になると,どこからともなく交差点に警察官がやって来て,持参した白黒の縞模様の台に上がって笛を吹きながら独特の身振り手振りで交通整理をした。
自動車の量と動きを判断して「止まれ」や「進め」の指示を出すのだから,かなりの経験と勘が必要だったに違いない。
警察官の指示で流れていく自動車と歩行者を交互に眺めながら昼のひと時を過ごしたものである。

私が運転免許を取得した40年ほど前までは教習所で「警察官による交通整理」についての講習があったのだが,実際に自動車を運転していてこれに出くわすことはなかった。

昭和50年代には既に行なわれなくなっていたようである。