酒呑み親父のよもやま噺

探求心旺盛な酒呑み親父の随想録

柱時計

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祖父の代から時計店を営んでいた関係でわが家には無数の時計があった。
廊下の壁面には常時20~30台の修理済みの柱時計が掛けられていて時間調整のために時を告げていた。

修理済みといっても今のような電池時計や電波時計の正確さは求められていなかった時代で,大まかな時間が合うようになれば良かったようだ。
壁に掛けられた柱時計が時を告げる時には,様々なトーンの「ボーンボーン」という音が一斉にわが家の廊下に響き渡った。

12時を告げる時が一番強烈で,最初の時計が鳴り始めてから最後の時計が鳴り終わるまで数分かかったような記憶がある。
その間時計が鳴り続けるのであるが,喧しいと思ったことはなかった。
知らぬ間に時計の音に慣れていて,無意識のうちに耳が拒絶するようになっていたのだと思う。

私が父のあとを継がなかったのでわが家から余分な時計は消えたのだが,今でも廊下を歩いていると時計の音が鳴り響いているような錯覚にかられることがある。

時間にはおおらかな時代だった。


 

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