小学校4年生の音楽の教科書に「せいくらべ」という唱歌があった。
その歌詞の中に「ちまき食べ食べ兄さんが計ってくれた背の丈…」という一節がある。
当時の生徒たちは誰もその「ちまき」を知らなかった。
すでに家庭で「ちまき」を作っていた時代ではなかったし,店に売られていた時代でもなかった。
数日後のことである…。
担任の先生が先生のお母さんに作ってもらったと言いながらクラスのみんなに手作りの「ちまき」を配ってくれたのだ。
初めてたべた「ちまき」の味と,狂喜乱舞するクラスの風景を今でも鮮明に記憶している。
先生と生徒との繋がりはこのようなところから深まって行くのだと思うのだが,生徒が口にするものを無造作に配ることができる時代ではなくなってしまった。
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