第12歌集『天變の書』
昭和54年7月 日付記載なし(書肆季節社)菊判貼函附 丸背 156頁 帯附
装釘:政田岑生 定価3,300円
本文組:2首/頁(1首2行)
私が初めて手にした塚本邦雄の歌集は『天變の書』だった。
岡山県倉敷市の「長山書店」という古書店の床に積まれた書籍の中に混じるこの歌集を見て,その装丁と歌の難解さに惹かれのだ。
帯のない状態で3,000円ほどの値札がついていたので「高いな」と思ったが購入したという記憶がある。
それまで,塚本邦雄という歌人を全く知らなかった。
この歌集については何度も買い換え,買い加えながら今に至っている。
塚本邦雄でも,この辺りの歌集になると割と頻繁に古書店で見かけるようになっていた。
発行部数も初期のものに比べると安定したのだと思う。
何軒もの古書店で『天變の書』を購入し,「署名本」「識語入」「歌入」「美本」「極美本」など,様々なパターンの『天變の書』が私の手を通り過ぎていった。
そして画像のものを含め数冊が手元に残った。
画像のものは,東京都の「石神井書林」が発行する「石神井書林古書目録」から入手したものである。
元より函に掛けてあるパラフィン紙が残っている。
鐡鉢に百の櫻桃ちらばれりあそびせむとやひとうまれけむ 落款 『天變の書』所収
貴重な当時の筆と思われる「歌・署名・落款入」で,目録の古書価も手頃な設定だったので,即座に注文の電話を掛けた記憶がある。
現在では「石神井書林古書目録」は,100号をこえている。
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