第8歌集『蒼鬱境』
昭和47年8月30日(湯川書房)菊判変型軽装帙入 角背 48頁 カバー帯附
編輯:政田岑生 限定200部
本文組:1首/頁(1首1行)
塚本邦雄歌集には,「序数歌集」として発行されながら「限定発刊」のものがある。
第8歌集『蒼鬱境』は,200部限定発行のため古書店でもあまり見かけないもののひとつで,120部限定の第1歌集『水葬物語』とともに塚本序数歌集蒐集の「キキメ」となっている。
この2冊以外に,
第11歌集『閑雅空間』1500部限定
第14歌集『豹變』1300部限定
の2歌集があるが,『閑雅空間』と『豹變』については「限定発刊」といっても発行部数が多いので,前述の2歌集に比べると随分入手しやすい。
画像の『蒼鬱境』を手に入れるまでに,2冊の『蒼鬱境』が私の手を通り過ぎていった。
最初手にしたのは,大阪市の古書店「浪速書林」が発行する「浪速書林古書目録」からであった。
「極美」の記載はあったが,実際には「背」に微妙な色褪せが見られた。
緑の表紙のため,背が「日焼け(色褪せ)」したものが多いのである。
画像の『蒼鬱境』は,東京都の古書店「石神井書林」が発行する「石神井書林古書目録」から入手したものである。
「未読本」と思われる状態で,背の色褪せもない。
200部限定のうち「38番」の記載がある。
霜は錫のひびき昨日かわれを措き男一人の愛に果つること 邦雄 『蒼鬱境』所収
貴重な当時の筆と思われる「歌・署名入」で,目録の古書価も手頃な設定だったので,即座に注文の電話を掛けた記憶がある。
目録には「極美」の記載があったが,電話口で何度も背の状態を確認して注文した。
現在「石神井書林古書目録」は100号をこえている。
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