酒呑み親父のよもやま噺

探求心旺盛な酒呑み親父の随想録

『夢は夜ひらく』三上寛

【今日の一枚】
『夢は夜ひらく』三上寛
1972年3月(日付不明)リリース(URC

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三上寛」の4枚目のシングルである。
1971年8月7日の昼間から,9日未明にかけて行われた「第3回全日本フォークジャンボリー」で,当時誰もが知っていた『夢は夜ひらく』のメロディーに乗せて,オリジナルの歌詞を披露したのが,「三上寛版」の『夢は夜ひらく』だったと言われている。

青森県津軽から,柳行季ひとつと三千円を握って上京した「三上寛」は,ここから日本で最もラジカルな唄を歌うフォークシンガーとして,本格的に歌手生活を歩み始めたのである。

この曲がリリースされた「URC」は,「アングラ・レコード・クラブ」の通称で,1969年1月に設立された会員制レコードクラブである。

「日本で最初のインディーズレーベル」と言われ,当時フォークシーンで盛んになっていた政治を批判する歌詞のプロテスタントソングや反戦歌,差別用語や卑猥な言葉等放送禁止用語が含まれる等歌詞に問題があったり,放送するに相応しくないと言う理由でメジャーで発売出来ない楽曲を自主制作で発売する為に設立されたものである。

リリース間もなくして,「三上寛版」の『夢は夜ひらく』は放送禁止となった。メロディーではなく,もちろん歌詞に問題があるとの判断であった。
確かに,レオードジャケットの絵も少々怪しい。

以上のような理由から,このレコードは現存する枚数が少ない。
大学生の頃,『夢は夜ひらく』のいろいろなバージョンを聞き比べしてみようと思い立ったのは,このレコードを手にしたことがきっかけだった。

私にとっては忘れられない思い出であると共に,大切に保管しておかなければならない珠玉の一枚となっている。