酒呑み親父のよもやま噺

探求心旺盛な酒呑み親父の随想録

『襟裳岬』森進一

【今日の一枚】
襟裳岬』森進一
1974年1月15日リリース(ビクター)

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「森進一」の29枚目のシングルである。
演歌歌手がリリースしたが,作詞は「岡本おさみ」,作曲は「吉田拓郎」というフォーク全盛期を代表するコンビの作品である。

本作で1974年の「第16回日本レコード大賞」と「第5回日本歌謡大賞の大賞」をダブル受賞した。レコード売上は,累計で約100万枚を記録した。

中学生の頃のヒット曲である。
ヒットした当時,襟裳岬のある「えりも町」の人々は,サビに登場する「襟裳の春は何もない春です」という歌詞について,「何もない春」なんてないと反感を持ち,渡辺プロや作詞者の「岡本おさみ」宅への抗議の電話をしたという。

実際は,作詞した岡本おさみが襟裳に訪れた時に大変寒く,民家で「何もないですがお茶でもいかがですか?」と温かくもてなしされたことに感動して作詞したものであった。

それにしても,「吉田拓郎」が作ったフォークソングの,どちらかと言えば単純なメロディーを,これほどまでに感情のこもった「演歌」に歌い上げた森進一の歌唱力には脱帽した。

1974年に「吉田拓郎」がリリースしたアルバム「今はまだ人生を語らず」で,拓郎自身がセルフカバーしているが,拓郎の歌い方は完全に「フォーク調」であり,「森進一」が歌った『襟裳岬』とは全く別の曲かと思えるほどあっさりとした曲に仕上げている。

何れにしても,日本の歌謡史とフォークソング史に残る名曲として歌い継がれていくべき一曲であると言えよう。