【今日の一枚】
『坊や大きくならないで』マイケルズ
1969年2月1日リリース（DENON）
男性3人のグループ「マイケルズ」が歌った『坊や大きくならないで』のシングルである。
ジャケットに「本命盤」とあるように，この他にも「高石友也」や「浅川マキ」などが競作していて，それぞれに歌詞が少しづつ違っている。
小学生の頃の曲であるが，初めて聴いたのは中学生になってからだった。
作曲した「トリン・コン・ソン」はベトナムの作曲家で，「Trinh Cong Son」と書いて「チン･コン･ソン」と発音するようだ。
その頃，「高石ともや」や「浅川マキ」の『坊や大きくならないで』も聴いたが，この「マイケルズ」のものが一番輝いていたという印象が残っている。
この曲は，大きくなると戦争にいかなければならないからこのまま大きくならないでいて欲しいと，母親が自分の赤ちゃんに呼びかけているベトナム戦争の頃の「反戦歌」である。
戦争が続く中の母親の子どもに対する，なんとも重く複雑な思いを綴った詩を，素直なハーモニーで歌った一曲である。
個人的にも，「戦争反対」を直接的に口にしてもの申す類いの反戦歌より，この曲のように，戦争を自らの生活に引きつけて，その中から戦争に対する悲しみを歌った反戦歌が好きだ。
反戦歌ということに関して言えば，この『坊や大きくならないで』こそ，「フォークソング反戦歌」の真髄と言えるのではないか思っている。
