昭和40年代までだったろうか,学校には「講堂」という建造物があった。
今のように各小学校に体育館がある時代ではなかった。
戦争が終わるまでは,ここに「奉安殿」があって,天皇陛下の「御真影」と「教育勅語」が安置されていて,折に触れて儀式が行われていたということだが,私が小学生の頃にはすでにその痕跡はなかった。
入学式や卒業式などの式典はすべて講堂で行われていたし,学芸会などの発表会的な行事も講堂が舞台となっていた。
雨の日には,講堂の長椅子をすべて後ろに取り払って体育の授業も行われた。
元々講話や演説を聞くための建築物であるから,床が後方になるにつれて高くなるように設計されていて,子ども心にもやりにくかったという記憶がある。
体育館の普及と共に解体され今ではその姿を見ることはなくなってしまった。